絶対死刑にならない殺人の方法

闇サイト殺人の堀被告、死刑破棄し無期 名古屋高裁判決 :日本経済新聞

名古屋市千種区で2007年、携帯電話の「闇サイト」で知り合った男3人が会社員の磯谷利恵さん(当時31)を拉致・殺害した事件で、強盗殺人罪などに問われた2被告の控訴審判決が12日、名古屋高裁であった。下山保男裁判長は「犯行の計画は綿密ではなく、矯正可能性もある」とし、堀慶末被告(35)を死刑とした一審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。

 川岸健治被告(44)については、自首を理由に無期懲役とした一審を支持し、死刑適用を求めた検察側控訴を棄却した。

 判決理由で下山裁判長は、共犯の神田司死刑囚(40)=一審判決が確定=と堀被告らを比較。「2被告の役割を神田死刑囚と同等とすることはできず、被害者が1人であることを考えると、堀被告らを死刑とするにはためらいがある」とした。

本来は判決の全文を読んで判断すべきこととは理解していますが、その上でこの日経の記事が、正しく判決の趣旨を説明しているとして、ですけど。
この判決が言ってることは全く納得が出来ない。
書いてあるポイントは2つ。
1.複数犯の犯罪において、量刑を決める際に相対的な尺度を持ち出す。
(一番悪いやつが死刑になったから、他はそれより軽い刑にする)


2.被害者の数と死刑判決を出す数を秤にかける。
(被害者が一人だけなんだから二人も死刑にするのはためらう)


理屈として破綻してると思うんだがなあ。
1については、他の犯人と比べてどう、というのは関係ないでしょう。その犯人が犯した罪が死刑に値するのかどうかで判断してくれないと。相対的な判断ではなく絶対的な判断をしないとおかしくないか?
2も全く意味が分からない。被害者の数を上回る数で共犯を行えば全員が死刑になることは無いってことか。みんなでやると罪が薄まるんだね。不思議な理論。

この高裁の判決の趣旨からすれば、絶対に死刑にならない殺人の方法ってありますよね。

まず、被害者となる人間の数を上回る数で犯罪グループを組成。さらに、実行する際にはリーダー的な存在を作らず、全員が同じ立場で同じ程度の役割を担う。これでOK。
まず、1の理論により、この犯罪グループが裁判にかけられたとき、死刑になるとしたら全員であり、一人でも死刑にならない場合は全員が死刑を免れる。(共犯者同士の相対的量刑判断)さらに、2の理論により、被害者数を上回る犯行グループが全員死刑になることは無い。

したがって、1と2の理論により全員が死刑以外の判決を得ることになる。

今回の犯人達も、役割を3人同等にしておけば全員が死刑を免れることが出来た。この高裁判決の趣旨からすれば。(死刑は一人までってきめちゃってるんですから、全員が同じ程度の役割を演じていれば全員を死刑に出来ない以上、全員が死刑を回避できる)

何の罪も無い被害者が、理不尽に殺害されてしまったことには変わりがないのに。

全員を死刑にすべきか、全員が死刑に値しないのか、リーダーだけが死刑なのか。この辺の判断は正直素人には分からんところです。
ただ、判決理由に説得力が全く感じられないのはいかがなものか・・。
今回無期懲役になった犯人が死刑に値しないことを、その犯人が犯した犯罪の重さを基準に判断していたなら、こんなことは考えなかったと思う。
「被害者一人だから死刑も一人まで。そして死刑になったほかの犯人よりは役割が(相対的に)軽い。よって一番役割の重い人が死刑になっている以上、この犯人は無期」
もう、この被告が何したか、関係ないやん!