無期懲役という刑罰

私自身は死刑制度に関しては存置派なんだけど、無期懲役という刑罰に関して簡単に出てこられる(仮釈放される)という誤解をしている人って結構いるんじゃないだろうか。
よく聞くのは「無期懲役なんて7年で出てこられる」といった類の話。
実態はそうはなってなくて仮釈放を認められた人で、平均30年はかかってるようです。もちろん認められてない人もいる。

無期刑、仮釈放まで30年…厳罰化で長引く

読売新聞 11月22日(月)7時12分配信
 無期懲役刑の受刑者で仮釈放を許可するかどうかの審査を昨年受けた24人のうち、不許可が18人と75%を占め、過去10年間の平均の34・6%を大幅に上回ったことが、法務省のまとめでわかった。

 許可された6人の受刑期間の平均は30年2か月で、10年前の1・4倍に延びており、厳罰化の影響で無期懲役囚の仮釈放は一層難しくなっている。

 法務省のまとめによると、昨年末時点の無期懲役囚は1772人で、このうち受刑期間が30年以上なのは88人。50〜60年にわたり服役している受刑者も7人いる。

 2005年以降、刑務所長の申請に基づいて仮釈放審査が行われた件数は年に1〜7件と少数にとどまっていたが、審査の透明化を求める声が高まり、昨年4月からは刑期が30年を過ぎた時点で必ず審査する新制度が始まった。これにより、昨年は審査数が24人に急増。ただ、許可されたのは4分の1にとどまり、30年目の審査は仮釈放の拡大にはつながらなかった。

記事の中で、仮釈放が許可された受刑者の受刑期間の平均が30年2ヶ月とあり、「10年前の1.4倍になった」とあるから、10年前の時点でも仮釈放される受刑者は平均で21〜22年はかかっている事になる。7年で仮釈放、というのが実際にあったケースかどうかは知らないけれど、あったとしても極端な例であって、無期懲役という刑罰の実態をきちんと表しているとはいえない。

30年でもダメだ、仮釈放が認められていること自体が無期懲役を容認できない要因だ、という話ならわかるのだが、7年で出られるから軽すぎる云々というのは、明らかに議論をミスリードするので(私自身、どこで聞いたのかこれを信じてしまっていた恥ずかしい過去があります。)、死刑制度や無期懲役判決を論じる際に持ち出すべきではないと思う。