押尾学裁判


私は司法関係者でもなくただの一市民ですので、裁判に関する事実誤認、法律用語等の誤用等あるかもしれません。素人の雑文としてお読みくださいますようお願いいたします。

求刑6年。ちょっとこれがどうなのかはよく分からないけど、こんなもんなのかもしれません。
さて、求刑よりも興味があるのはそもそも有罪になるかどうか、というところなんだけど、今回押尾被告が問われているのは「合成麻薬MDMAの譲渡」と「保護責任者遺棄致死」などらしい。

MDMAの譲渡に関しては、要するに亡くなった女性にMDMAを渡したかどうか、ということだと思うが、「死人に口なし」の状態で立証は難しそう。状況証拠として「すぐいる?」と尋ねるメールを送っているが、被告人側はこれはMDMAを指しているのではないと反論する。どうにも苦しい反論なのだが、こと刑事裁判となれば「推定無罪」の原則が働き、検察側がMDMAを譲渡したことを立証しなければ有罪とはできないのだと理解しているが、さてこの証拠をどう判断するか。もちろん、このメールだけが根拠ではなく、周囲の人の証言なども総合的に組み合わせ、被告人が持ち込んだことを立証しているのだろうけども、決定的な証拠はなさそうな感じなんだよな。
個人的には、どう考えても被告人が渡したとしか思えん!と思うけども、裁判員になって裁くとしたら、これで有罪とできるかどうか?迷うだろうなあ。もちろん裁判の中では、報道で知る以上の事実や証拠が示されているのだろうけども。

次に保護責任者遺棄致死。被告人に保護責任があるのかどうかはよく分からない(疑問だ、という意味ではなく要件を知らないので本当に分からない。)が、とりあえずそこはあるのだとして、遺棄致死となるのかどうかが争点になっているようである。
遺棄致死というのは要するに、「ほったらかしたから、死に至った」と理解した。つまり。「ほったらかしたこと」ではなく、「それが原因で保護すべき人を死なせた」ということが罪だということだろう。遺棄と致死に因果関係があるかどうかということで、救急車呼べば助かったのか、呼んでももう助からなかったのか。
とりあえず今回の事件の場合、押尾被告が亡くなった女性を救急車も呼ばずほったらかしたことに疑いの余地はない。となると、それが原因で女性が亡くなったのかどうか、が争点になるのか。この点、報道では弁護人側、検察側、双方の証人として証言した医療関係者が、正反対の証言をしたとされる。弁護人側の証人は救急車を呼んでも救命可能性は非常に低かったとし、一方検察側の証人は、すぐに救急車を呼べば高い確率で救命できたという。
この点、亡くなった女性に異変が起きてから死亡に至るまでの時間に関しても双方で隔たりがあり、この前提が違うから救命可能性に差が出るのかもしれないが、同じ専門家の意見としてここまで分かれてしまったら、裁判員はどう判断したらいいのか?

結局密室で起きた事件のため、異変が起こった時刻や死亡に至った時刻をどう事実認定するのか。与えられた証拠だけで被告人の有罪を証明できるのか。少なくとも自分が見聞きした情報だけではとても即断できるような材料はなさそうだなと思う。

個人的には、遺棄致死が成立するかどうかに関わらず、自己の保身ために明らかに異状をきたしている人を放置して立ち去る時点で、何らかの罰が必要だと思う。ただ、刑事裁判で裁けるかどうかはどうだろうか。非常に立証の難しい事件なのではないだろうか。
自分の周りを見渡すと『推定有罪』の空気もかなり漂っているなかで、裁判員がどんな結論を出すのか興味深いところだ。もし刑事裁判で裁けなければ民事か、それこそ天罰を待つしかない。