敷金返還請求(その3)

知っておくべきもの:国交省ガイドライン

敷金は預けただけの自分のお金です。全額返ってくるのが原則です。ただし、何のために敷金を預けるのかといえば、貸主が家賃不払いやその他、予期せぬ損害を受けた場合にそれを保証するためです。したがってそういった事情があれば敷金から正当に認められる請求額は控除され残額が返還されることになります。

では正当に認められる請求とはどのようなものでしょうか。それを示したのが以下のガイドラインになります。これは国土交通省が策定したものですが、法律ではないため法的拘束力があるわけではありません。基本的には当事者同士の契約が尊重されるのが原則です。

しかし、一般論としてこのようなものが敷金から引かれるのだということを知っておくことは大いに意味があります。ともするとその範囲については賃借人も勘違いしていることがあるのです。ガイドラインを見れば、普通に住んでいる限りよっぽど敷金から引かれるものなんて無いということがわかります。

もちろんいくらガイドラインに書いてあっても契約書に違うことが書いてあればそちらが有効になってしまうのが原則です(賃借人の利益を不当に害するものであれば契約自体が消費者契約法違反とされる場合もあるみたいですが)。そういう意味では退去時に読んでも遅いという場合も考えられ、むしろこれから部屋を借りようとする人こそ、こういったガイドラインを知っておくべきだと言えるでしょう。(契約書に不当な事項があったら指摘できる。)

○原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(PDF)
■概要
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/kaihukugaidokai.pdf
■全文
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/genzyokaifukugaido.pdf